なお♪
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育児に認知行動療法を活用しよう (3)

ナナコさん,認知の落とし穴を知る。

ほっほい!
こんにちは,ドクターなお♪です。
毎日の育児に家事に,それにお仕事していらっしゃる方も,お疲れさまです♪

「育児に認知行動療法を活用しよう」というテーマのこのシリーズ,今日は第3回目。
前回に続いて今回も,ワーキングマザー ナナコさんが認知行動療法に取り組む様子をご紹介します。

3つのコラムに「状況・考え・気分」を記録するうち,ナナコさんは「私がイライラしたり腹が立ったりしていたのは,自分の子育てがうまくできていないせいだった」と気付きました。

落ち込んだナナコさんの前に,夫が1枚の紙を持って戻ってきました。

「これ,見てみて」

差し出された紙には「認知の落とし穴」と書かれた表があります。

落とし穴のタイプ 説明
(1) 悪い予測がエスカレート 自分で悲観的な予測を立てて自分の行動を制限し,
予想どおりに失敗してしまう
(2) 白か黒か,全か無か 少しでも不満があると「何もかも台無し」と極端な結論に
たどり着き,物事を柔軟にとらえられない
(3) 悪いところしか見えない 失敗した部分など物事の悪い面ばかりが目につき,
落ち込んでしまう
(4) 何でも自分のせいと考える まわりのよくないできごとを必要以上に自分の責任と感じて,
自己嫌悪に陥る
(5) 勝手な決めつけ・思い込み 「私は嫌われている気がする,だから努力しても無駄だ」
など,自分の感情を“真実”を証明する根拠として使ってしまう
(6) 自分を縛り付ける考え方 人は~すべきだ,…でなければならない,など
厳しい要求水準を作り上げて自分に適用してしまう
(7) 極端な一般化 数少ない事実から「一度だってうまくいったことがない」
「いつも決まってこうなる」と考えて落ち込む

読んでいると,夫が説明してくれました。

「ナナコは今まで『状況・考え・気分』を記録してきてるよね。その『考え』のところをよく見ると,この『認知の落とし穴』にはまりこんで,だから『気分』が落ち込んだり腹が立ったりしてる,ってことがあるんだって。この紙には,陥りやすい落とし穴のパターンがいろいろ書いてあるんだ」

落とし穴…私の「考え」も,ここにあるどれかにあてはまってる,ってこと?

ナナコさんはノートを開いて,これまでに自分が記録した「考え」を読み返してみました。

落とし穴にはまらない考え方が大切!

「考え」の欄を見て,まず気がついたのは「今日もまたグズグズ…」「また今日も靴下が…」「いつも靴下…」「いつも無視…」のように,「また」とか「いつも」といったことばが多く登場することでした。

「『また』『いつも』ってよく書いてるな,私…」とナナコさんがつぶやくと,夫が言いました。

「『いつも』って表現は (7) 極端な一般化 でよく使われる言い回しみたいだね」

「でも,実際『いつも』のことなのよ? あの子たちが靴下脱ぎっぱなしなのは…」

ナナコさんはそれが「落とし穴」に当てはまると言われて,ちょっと不服です。

「たしかに,リビングに脱いであることはしょっちゅうあるかもしれないね。でもさ,たまに洗濯機のところへ持って行ってる日もあるんじゃないの? 記録に靴下のことを書いてない日はどうだった?」

・・・あっ!?
そういわれてみれば,今日は靴下のこと気にならなかった…散らかってると「また」とか「いつも」とか思っちゃうけど,散らかさずにちゃんと脱いでる日もそれなりにあるってことなのかな。

「靴下…ちゃんと洗濯機のところに置いてる日もある気がしてきた。もしかしたら,週に2回くらいは持っていってあるかも。それなのに私は,散らかっている日ばかりに目が向いていた,ってことなのね?」

ナナコさんのことばを受けて,夫はうんうんと頷きました。

「そうかもしれないね。落とし穴 (3) 悪いところしか見えない とも共通してそうだけど,同じ『週に5日くらいリビングに靴下が脱いだまま置いてある』という実際の現象を,落とし穴にはまった見方で感じたり考えたりするせいでナナコ自身がしんどくなるんだとしたら,やっぱり落とし穴にはまらないようにしたほうが気分を楽にして過ごせるんじゃないかな」

実際の現象を,落とし穴にはまらないように見たほうがいい…,か。

夫の話を聞きながら,ナナコさんは何かを思い出しかけていました。

~ 編集後記 ~

月曜日担当のなお♪ です。
認知行動療法に取り組むナナコさん,今回は「認知の落とし穴」のパターンを知ることができました。3つのコラムを記録するなかで行き当たったガッカリした思いはまだ解消されてはいませんが,どうやらナナコさん自身「落とし穴にはまっているかもしれない,はまらないほうが気分が楽かもしれない」という気付きは得られたみたいです。
次回,ナナコさんはいったい何を思い出すのでしょうか? どうぞお楽しみに♪ 次回は12月17日登場予定です。
それでは,引き続きファミリーマネジメントジャーナルをお楽しみください。

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児童精神科の勤務医をしています。児童思春期の心の悩み,発達障害支援,特別じゃない特別支援教育,育児支援,ワークライフバランスに興味があります。夫と小学生の息子との3人暮らしのなかで,私自身も母親としてあれこれ悩みながら日々育児に奮闘中です。子育ての負担やストレスはできるだけ軽くしたいし,せっかくならこどもの育ちを楽しみたいし,でもこどもの心はしっかりたくましく育てたい…と欲張りな願望をもっています。こちらでは,子育てが少しでも楽になるような考えかたやコミュニケーションのとりかたについて,迷ったり気付いたりしたことを中心にあれこれ書いていきたいと思います。

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