なお♪
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育児に認知行動療法を活用しよう (6)

pasta

待ちに待った,カズコ先輩とのランチ!

ほっほい!
こんにちは,ドクターなお♪です。
毎日の育児に家事に,それにお仕事していらっしゃる方も,お疲れさまです♪

前回は手帳の話でお休みをいただいた「育児に認知行動療法を活用しよう」シリーズ,久々の更新です。

今回は第6回目になります。前のお話ではナナコさんがカズコ先輩を誘ってランチに行くところでしたが,覚えてくださっていたら嬉しいです。

さて,ナナコさんはカズコ先輩からどんな話が聞けるのでしょうか?…

行動派のカズコ先輩がいつの間にか新しいカフェに予約を入れてくれていたおかげで,お昼の混雑した時間でもすんなり席に着くことができました。

注文を済ませたところで,カズコ先輩がすかさず切り出します。

「今日はどうしたの? 何か私に話したいこととかあるのかな,って気になってたのよ」

早速ナナコさんが悩み相談を始めます。

「そうなんです。私,この頃自分の育児に自信が持てなくなって…カズコ先輩は仕事も育児もいつも完璧にこなしていらっしゃるから,すごいなぁって尊敬してるんです。ちょっとでも先輩に近づきたいなと思って…どうしたら子育てってうまくいくんですか? 育児のストレスが軽くなったら,もっと仕事にも集中できるようになると思うんですけど,いつもご迷惑掛けてばかりで申し訳ないです。せっかく新しいプロジェクトにも入れてくださってそれは本当にすごく嬉しいんですけど,先輩の期待にお応えできるような仕事はできてないから,そんな自分が情けなくて家に帰ってからもイライラしてしまって…」

ナナコさんは今まで悩んでいたこと,カズコ先輩に聞いてほしかったことを一気にまくし立てました。

話すうちに,仕事での不全感が家でのストレスにつながっていると感じていることも自然に口から出てきました。

カズコ先輩は黙ってじっと聴いていましたが,そこで初めてフォークを手に取って,サラダのプチトマトを突き刺しながら言いました。

「ねぇ,あのね,…」

ナナコさんはハッとして,カズコ先輩のことばの続きを待ちます。

適当な育児?!

「ナナちゃんにそんなふうに思われてるのはありがたいんだけど…正直なところ私の子育てなんて適当よ,テ・キ・ト・ウ。全然完璧じゃないんだから」

ナナコさんにはカズコ先輩のことばが意外すぎて,思わず繰り返してしまいました。「適当,って…まさか!」

「そうよ。だって,息子たちが産まれたときはふたりとも1歳にならないうちから保育園預けて職場に復帰したし。でも,いくら保育園で預かってもらってても熱が出たとかで保育園や小学校から連絡あったら迎えに行かなきゃいけないし,でも仕事だってそんな簡単に抜けられないし。だから,私の親に緊急のお迎えを頼んだりしてね」

そりゃまぁ,そういうこともあったのかもしれないけど…。

「熱が出てないときだって,こどもたちは小さいときからしょっちゅう私の両親のところへ遊びに行って,ときには夜泊まってきたりもしてたのよ。私,ひとりっ子だから遠慮なく実家を頼れちゃってたし。息子たちにしても,おじいちゃんおばあちゃんは私みたいにいろんなことガミガミ言わないから,のびのび過ごせて居心地よかったんじゃないのかな」

カズコ先輩が,お子さんたちにガミガミ言うことがあるだなんて…先輩に抱いていた理想的母親のイメージ像が少しずつ崩れていくのをナナコさんは感じていました。

「気がついたら息子たちも部活とか友達と遊ぶこととかで忙しくなってて,いつの間にか手が離れたっていうか…ね。今でも私の親に言われるのよ,『お前のこどもたちは保育園と私たちが育てたようなもんだ』って」

ニッコリ笑って,カズコ先輩は続けます。

「でも,まぁそれもアリだったかなーって。仕方ないじゃない? 私には仕事が大事だったし,もちろん息子たちだって大事だし,どっちかのためにどっちかを犠牲にするとか考えられなかったのよ。それに,たぶん私は仕事を辞めて一日中ずっと息子たちと向き合うっていうのは向いてないと思うのよね。気分転換っていうか,仕事の時間があるから家に帰ればこどもと新鮮な気持ちで関われるし,こどもとの時間があるから翌朝仕事に行ってもリフレッシュできてる,みたいな感じが性に合ってるの」

ナナコさん,パスタが運ばれてきたことにも気付かず,カズコ先輩の話に聴き入っています。

「ナナちゃんのところはまだお子さん小さいもんね。普段,ご実家とかあんまり頼れないの? フルタイムで仕事してるんだし,それも私みたいなうるさいのにいつもしごかれてるんだし,それで育児とか家のこととかひとりで抱えてたら大変じゃないのかな,って思うよ。ナナちゃんのご主人は育児とかこどもの教育とか一生懸命になってくれそうだけど,やっぱりお忙しいもんねぇ…。さ,食べよっか」

「あ,はい。聴いてくださってありがとうございます」と,そこからしばしふたりでパスタをクルクル口に運んだのでした。

~ 編集後記 ~

ナナコさん,もやもやした思いをカズコ先輩に聞いてもらうことができました。仕事も家庭も完璧と思っていたカズコ先輩が,意外なぶっちゃけトークをしてくれて,ナナコさんはきっとホッとしたことと思います。仕事と育児の両立についても,ナナコさんとカズコ先輩では考えかたがかなり対照的でしたね。カズコ先輩の割り切りかたを知って,ナナコさんは自分自身の育児や仕事に対する姿勢についてまたいろいろ考えることになりそうです。次回は4月1日更新予定です。それでは,引き続きファミリーマネジメントジャーナルをお楽しみくださいませ♪

ところで,今日は3月11日。
東日本大震災からちょうど2年が過ぎました。
今もつらい記憶や生活上の困難,さまざまな不便に苦しみながら過ごしている方がたくさんいらっしゃることと思います。
犠牲になられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被害を受けられました皆様には心よりお見舞い申し上げます。

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児童精神科の勤務医をしています。児童思春期の心の悩み,発達障害支援,特別じゃない特別支援教育,育児支援,ワークライフバランスに興味があります。夫と小学生の息子との3人暮らしのなかで,私自身も母親としてあれこれ悩みながら日々育児に奮闘中です。子育ての負担やストレスはできるだけ軽くしたいし,せっかくならこどもの育ちを楽しみたいし,でもこどもの心はしっかりたくましく育てたい…と欲張りな願望をもっています。こちらでは,子育てが少しでも楽になるような考えかたやコミュニケーションのとりかたについて,迷ったり気付いたりしたことを中心にあれこれ書いていきたいと思います。

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