なお♪
comment 1

育児に認知行動療法を活用しよう (8)

実家とナナコさん

ほっほい!
こんにちは,ドクターなお♪です。
毎日の育児に家事に,それにお仕事していらっしゃる方も,お疲れさまです♪

「育児に認知行動療法を活用しよう」シリーズ,第8回目です。
前回(第7回),自分の育児について振り返るなかで,実家を頼ることへの葛藤に気付き始めたナナコさん。
さて,ナナコさんはどんな居心地の悪さを感じたのでしょうか?…

ナナコさんは,実家に帰ったときどんな瞬間に居心地の悪さを感じているのか,実家での自分の行動を思い出しながら振り返ってみました。

両親と話をしているときも,弟と話をしているときも,穏やかに会話が弾むしみんな楽しそう。嫌そうな素振りなどなく,喜んで迎えてくれているのがわかります。

こどもたちだって,おじいちゃん家に遊びに行くことをふたりともいつも楽しみにしています。いっぱい遊んでくれる叔父さんのことも大好きなようです。

でも…,

ナナコさんは気付きました。

両親と話をしながら,ハチロウさんがそのときどうしているのかを自分がとても意識していたことに。

…ハチロウはムッタやナナミのことをかわいがってくれて,公園なんかにもちょくちょく遊びに連れて行ってくれたりしてる。こどもたちと積極的に遊んでくれていることが自分は嬉しいんだと思っていたけど,もしかしたら私,自分が両親と話しているときその場にハチロウがいないことにホッとしてたんだ!

この発見は,ナナコさんをちょっと動揺させました。

正直な話,ナナコさんはこれまでの人生をそこそこ順調に過ごしてきました。小学校から高校まで楽しく過ごして,進みたかった大学を出て,仕事は悩みがありながらも充実していて,結婚して,こどももいる今の生活です。家庭でも職場でも人間関係にも恵まれています。

そんなナナコさんにたまに会うと嬉しくなる両親は,最近の仕事のことやこどもたちの様子など,あれこれ尋ねてきては目を細めて聞いています。もちろんナナコさんのほうも,両親と会えたときには近況をしっかり報告しなくちゃ,と一生懸命話します。

…でも,こうして両親と自分が楽しそうに話しているのをハチロウが見ているとしたら,どうなんだろう?

弟,ハチロウさんのこと

考えてみれば,ナナコさんと3つ違いの弟ハチロウさんは小さいときから両親に心配ばかり掛けているような子でした。

ハチロウさんは性格のおっとりしたマイペースな子で,幼稚園や小学校ではよく泣かされて帰ってきていました。

朝起きるのが苦手だったり,宿題がなかなか進まなかったり,忘れ物が多かったり…お母さんにあれやこれや細やかに声を掛けてもらって,ようやく学校の用意ができる,そんな男の子でした。

どちらかといえば小さいときからテキパキしていたナナコさんから見たら,ちょっともどかしいところもありましたが,そこはやはり可愛い弟。小学校で悪ガキたちに意地悪されているハチロウさんを見掛けたら,すかさず助けに入ったりもしたものです。

ハチロウさんはそんなナナコさんの行動が嬉しくて,ナナコさんのことをいつも慕っていました。

「あんたも少しはナナコを見習って,シャキッ,ピシッ,っとできたらいいのにねぇ」

お母さんがハチロウさんによくそんな言葉を掛けていたのを,ナナコさんは覚えています。

…私から見たら,ハチロウはいつもお母さんにいろいろ気に掛けてもらってて,なんだか羨ましかったな。でも,「ナナコを見習ってがんばりなさい」って言われてるハチロウを見るのはちょっとつらかったっけ。

だんだん,ナナコさんの考えが形になってきました。

…今も実家で,お父さんお母さんに心配掛けながら一緒に過ごしているハチロウがちょっと妬ましいところもあるかな。もう私もいい大人なんだし,私まで親に迷惑を掛けるわけにもいかないから,仕事のことも家庭のこともしっかりがんばらなくちゃ。そして「私はちゃんとやってるから安心してね」って両親にちゃんと伝えたい。でも,あまり私のがんばってる姿を見せると,またハチロウに「お前もがんばれ」ってプレッシャーが掛かりそうな気がして,それもつらいんだよね。

~ 編集後記 ~

ナナコさん,実家に帰ったときの「居心地の悪さ」がどこから来ているか,ずいぶん考えを深めることができたようです。
親に心配を掛けたくない,弟にプレッシャーを掛けたくない,仕事と育児の両立のためには実家をもっと頼りたい…「居心地の悪さ」の正体はわかってきても,これからどうしていくのがいいのかの答えをつかむには,まだ時間が掛かりそうなナナコさんです。
次回は5月13日更新予定です。それでは,引き続きファミリーマネジメントジャーナルをお楽しみくださいませ♪

Filed under: なお♪

by

児童精神科の勤務医をしています。児童思春期の心の悩み,発達障害支援,特別じゃない特別支援教育,育児支援,ワークライフバランスに興味があります。夫と小学生の息子との3人暮らしのなかで,私自身も母親としてあれこれ悩みながら日々育児に奮闘中です。子育ての負担やストレスはできるだけ軽くしたいし,せっかくならこどもの育ちを楽しみたいし,でもこどもの心はしっかりたくましく育てたい…と欲張りな願望をもっています。こちらでは,子育てが少しでも楽になるような考えかたやコミュニケーションのとりかたについて,迷ったり気付いたりしたことを中心にあれこれ書いていきたいと思います。

1 Comment

  1. Pingback: 育児に認知行動療法を活用しよう (9) | ファミリーマネジメントジャーナル

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です