なお♪
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育児に認知行動療法を活用しよう (10)

先輩からの予告

ほっほい!
こんにちは,ドクターなお♪です。
毎日の育児に家事に,それにお仕事していらっしゃる方も,お疲れさまです♪

「育児に認知行動療法を活用しよう」シリーズ,第10回目です。

前回(第9回)は,弟との関係がナナコさんと実家の関係だけでなく,ナナコさんの子育てにまで影響を与えていた,というお話でした。

さて,今回は?…

「は~ぁ…弟,恐るべし! だわ…」

弟ハチロウさんの存在がナナコさんの生活にいろいろなかたちで影響していることに気づいて以来,ナナコさんはため息多めの毎日を過ごしていました。

「ムッタについつい厳しくしてしまうことも,ナナミをあんまりかまってやれてないことも,すべてハチロウとつながっていたなんて…」

オフィスのデスクで肘をついてぼんやり天井を見上げていたら,カズコ先輩がナナコさんの肩をポンと叩きました。

「どうしたの,ぼーっとしちゃって。…今ちょっと話したいことがあるんだけど,いいかな?」

誰もいない会議室の隅へ場所を移したところで,カズコ先輩がちょっと真面目な表情で切り出しました。

「あなたにも入ってもらってるプロジェクト,準備が調って上の了解ももらったから,いよいよ本格的に動き始めることになったの」

「え,本当ですか?」

思わず弾んだ声が飛び出したナナコさんに,先輩はさらに言いました。

「そうよ,ナナちゃんにもバリバリがんばってもらわなくちゃね。でね…」

カズコ先輩はちょっと声を潜めていいました。

「たぶんこれから残業も増えてくると思うの。お子さんたちのこと大丈夫かな,ってちょっと心配になって。ほら,前に子育てに悩んでるって話してくれたじゃない? しばらくはご実家とかご主人に頼ることが増えるだろうし,そのへんのことナナちゃんに伝えておかなきゃと思って,ね」

「あ,はい。大丈夫だと思います。私,がんばります!」

カズコ先輩に誘ってもらったプロジェクトの始動が嬉しくて,ナナコさんは笑顔で返事をしました。
ナナコさんの明るい表情を見て,カズコ先輩もほっとした様子で微笑みました。

変わればいいのに…

カズコ先輩と一緒のプロジェクトが本格始動することが嬉しくて仕方のないナナコさん。

夜,夫のムツオさんに報告したら,予想どおりムツオさんは自分のことのように喜んでくれました。

「よかったね~,ナナコ! 俺の帰りが遅いこともあるから申し訳ないけど,できる範囲のことは何でも協力するよ。がんばってね」

「ありがとう。あなたの帰りが遅い日は,実家に助けてもらうつもりだから大丈夫。今まであんまり実家に頼ってなかったんだけどね,じつはね…」

ナナコさんは,実家で感じた違和感とハチロウさんから知らず知らずに受けていた影響についてムツオさんに話しました。

「でも,このプロジェクトのためなら実家にだって頼れると思うの。それくらい気合い入ってるんだ」

一息ついてから,ナナコさんは続けます。

「あ~あ,ハチロウが早く定職に就いてシャキッと自立でもしてくれたら私ももっと気が楽なんだけどな~。奇跡の大変身でもすればいのよ,ハチロウは」

「それはダメだよ!」

ムツオさんが突然ちょっと大きな声を出したので,ナナコさんは驚きました。

「その考えはよくないな。ハチロウさんが変わるのをナナコがあてにするのは違うと思う。ナナコは『7つの習慣』を読んだんだろ? 忘れたの,『影響の輪』のこと」

…あぁ,そうだ,『影響の輪』。
ナナコさんも少しずつ思い出しました。

…自分が影響を及ぼせる範囲が『影響の輪』と,興味はあっても自分にはどうすることもできない『関心の輪』って範囲があるんだよね。ムツオの言うとおり,ハチロウがシャキッと自立するかどうかは私の影響の輪の外にある話だ。私の影響の輪の中にあるのは,私自身が実家の両親やハチロウとどう関わるか,ってことだわ。

「うん,わかった。ごめんね」

ナナコさんは,ムツオさんに謝りました。

…ハチロウが今のままでも,私は実家を頼ってこのプロジェクトに力を入れて取り組みたい。それが私にできること,私の『影響の輪』の中にあること。それでいいじゃない。とりあえず,実家にこれからのことをお願いしておかなくちゃね。

ナナコさんは自分のなかで決心を固め,これから起こることに思いを馳せたのでした。

~ 編集後記 ~

久しぶりに夫のムツオさんが登場しましたね(笑)。ナナコさん,ムツオさんのおかげでつまらない愚痴をいう『関心の輪』にとどまらずに済みました。実家との関係や子育てに悩みはあるけれど,やっぱりやりたい仕事ができる嬉しさは格別らしいナナコさん。ナナコさんはこれから『影響の輪』のなかでどんな活躍をみせてくれるのでしょうか。
次回は7月1日更新予定です。それでは,引き続きファミリーマネジメントジャーナルをお楽しみくださいませ♪

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児童精神科の勤務医をしています。児童思春期の心の悩み,発達障害支援,特別じゃない特別支援教育,育児支援,ワークライフバランスに興味があります。夫と小学生の息子との3人暮らしのなかで,私自身も母親としてあれこれ悩みながら日々育児に奮闘中です。子育ての負担やストレスはできるだけ軽くしたいし,せっかくならこどもの育ちを楽しみたいし,でもこどもの心はしっかりたくましく育てたい…と欲張りな願望をもっています。こちらでは,子育てが少しでも楽になるような考えかたやコミュニケーションのとりかたについて,迷ったり気付いたりしたことを中心にあれこれ書いていきたいと思います。

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