なお♪
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「こども性善説」のこと

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「育児に認知行動療法…」シリーズを終えて。

ほっほい!
こんにちは,ドクターなお♪です。
毎日の育児に家事に,それにお仕事していらっしゃる方も,お疲れさまです♪

全12回にわたり書いてきました「育児に認知行動療法を活用しよう」が完結して,3週間が経ちました。

楽しんでいただけましたでしょうか? そして,みなさんの育児のお役に立っていますでしょうか?…

今,精神医学や臨床心理の世界では,「認知行動療法」は大ブームです。

診療報酬改定で平成22年度から認知行動療法が保険点数化された(健康保険の使える「医療」として患者さんに認知行動療法を受けていただけるようになった)ことがブームのひとつのきっかけだったかもしれません。

でも,別に病院やカウンセリングルームに通っていなくても,認知行動療法の考えかたは誰でも日常生活に活かすこととができる,とっても便利なものだと思うのです。

もしも子育てにストレスを感じて,毎日の生活のなかで気分が落ち込んだりイライラしたりすることがよくあるとしたら…,

ぜひノートを1冊準備して,認知行動療法を試してみていただけたら嬉しいなぁ…と思っています。
ナナコさんが書いていたみたいに,コラムを区切って日記のように記録していくだけです。

コラムを分けて記入することで,できごと(状況)と考えたことと気分を分けてとらえることに少しずつ慣れていくと,育児の大変さに圧倒されたままにならずに落ち着いてこどもや家族の関係を客観的に振り返ることができて,きっと気持ちを切り替えたりこれまでと違う対応を考えて実行したりしやすくなってくると思います。

本屋さんの心理コーナーにも,わかりやすい独習用の認知行動療法の書籍は充実してきています。
本によって少しずつ説明が違うかもしれませんが,「ナナコさんのやりかただけじゃちょっと心許ないなぁ…」というときにはぜひいろいろな本を手に取ってみてお気に入りの1冊と出会ってくださいね。

「親性善説」と「こども性善説」

さて,今年7月に子育てに関する本(児童精神科医ママの子どもの心を育てるコツBOOK)を出版させていただいたのですが,その「はじめに」のなかにこんな言葉を書きました。

「ほとんどの親は,わが子をできるだけうまく育ててあげたいと願っている」
「初めから,わざわざ悪く育ってやろうと思っている子どもはいない」

診察室でお子さんや親御さんとお会いするときの,私の基本スタンスです。
「親性善説」と「こども性善説」…勝手に命名してみました(笑)。

生活の中でうまくいかないことがあったり,心に不調があらわれたりして診察室へ来てくださったお子さんとその親御さん。
今起きているしんどさの原因に思いを巡らすときに「お子さんが悪いわけでもなければ親御さんが悪いわけでもない」といつも考えるように心掛けています。
ただ,もしかしたらお互いの思いがうまく重ねらずにすれ違っているかもしれないし,大事なことがちゃんと伝わっていないかもしれない…そんなふうに考えてみたりしています。

お母さんやお父さんの立場からお子さんを見るとしたら,たとえば「この子は私たちに心配を掛けて気を引こうとしているわけでも,私たちを憎んでわざと困らせようとしているわけでもない。ただ,何かうまくいかない理由があるだけで,この子はこの子のやりかたで今できることをがんばってるところなのだろう」のように考えることは「こども性善説」ということになりますね。

認知行動療法のコラム法で,こどもが何かをうまくできていないことに対する怒りやいらだちを一旦分離しておけるようになったら,「たしかに今はまだできてないけど,この子はこの子なりにがんばってるところなわけよね」と,「新しい考え」のなかに「こども性善説」を取り入れやすくなるのではないかと思います。

じゃあ,「こども性善説」に基づいて,実際にお子さんに対してどんな応援やサポートができるのか…?

そんなことをこれから書いてみようと思っているところです。

まだ実際にどんなかたちで進めていくことになるのかは決めていませんが,どうぞ次回まで気長にお待ちくださいませ。

~ 編集後記 ~

おおよそ病院というところは,悪いところを見つけて治すための場所です。「のどで炎症が起きている」とか,「手首の骨にひびが入ってる」とか,「空腹時の血糖値が300を超えている」とか,「診断基準の5つの項目のうち4つに当てはまる」とか。でも,こころの診察についてはこうした「悪いところを見つけて治す」というアプローチがとても難しかったり役に立たなかったりします。こころそのものを治せるわけでもなければ,「これが悪い」と思えるものが治す・治さないで語れるようなモノではなかったりするからです。でも「性善説」の立場から見ると,思い掛けない解決法に気付くことがあります。そんなことをこれからみなさんと一緒に考えていけたらいいなと思っています。
次回は11月11日更新予定です。それでは,引き続きファミリーマネジメントジャーナルをお楽しみくださいませ♪

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児童精神科の勤務医をしています。児童思春期の心の悩み,発達障害支援,特別じゃない特別支援教育,育児支援,ワークライフバランスに興味があります。夫と小学生の息子との3人暮らしのなかで,私自身も母親としてあれこれ悩みながら日々育児に奮闘中です。子育ての負担やストレスはできるだけ軽くしたいし,せっかくならこどもの育ちを楽しみたいし,でもこどもの心はしっかりたくましく育てたい…と欲張りな願望をもっています。こちらでは,子育てが少しでも楽になるような考えかたやコミュニケーションのとりかたについて,迷ったり気付いたりしたことを中心にあれこれ書いていきたいと思います。

2 Comments

  1. こんにちは。
    小6から年長まで男の子三人の母親です。
    「こども性善説」納得です。
    長男や次男が小さいときには、私が困るようなことをすると「私を困らせようとしてやっているのか」とか、「うまく育てられない私を責めているのか」と思ってしまい、ずいぶんストレスを抱えていたように思います。
    私自身はモンテッソーリ教育に触れる機会があり、子供の成長段階で起こってくることが、成長に必要不可欠な行動であるということを知ってから、子供自身が成長していこうとする姿を見守れるようになり、子育てがだんだん楽しくなりました。
    もちろん悩みは常にありますが、子供ってすごいと思えるようになったことがよかったなと思います。
    思春期にさしかかった長男がいるので、著書大変興味があります。ぜひ読んでみたいと思います。

  2. ドクターなお♪ says

    かずえさん,コメントありがとうございます。
    男の子3人育てていらっしゃるなんて,すごいですね! 我が家にはひとりしかいませんが,じゅうぶんお腹いっぱいな感じです。
    こどもが何かやらかしたとしても,それを悪意に受け取らなかったり,親自身の責任と感じずに過ごすことができれば,ずいぶん気持ちが楽になりますよね。発達の過程で親が気に入らないことをしたり駄々をこねたりするのはあたりまえ,よしよし順調に成長してるじゃん,と…。
    なんてエラそうに言いつつ,私自身も毎日自分に言い聞かせているところです。
    拙著に興味持ってくださってありがとうございます。もし読んでいただけましたらぜひまた感想などお聞かせいただけたら嬉しいです♪

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